[ABCD包囲網]と聞けば耳触りが悪いが、日本には「日本ABC協会」というところがあって、ここが新聞や雑誌の販売数(実売数)を調査する。いわゆる「ABC調査」だ。
この調査によると、2010年の調査で目出度く、朝日新聞の朝刊が800万部を切ったとの結果が出た。日本が少し良くなった成果が数字になった瞬間だった。当時の秋山社長は「800万部を維持」と明言していたから、これがダメとなって連続の赤字決算となれば普通、社長なら責任を取って辞める。しかし、そこは朝日新聞らしく「転進支援制度」を言い出した。要するに「早期退職者」を募った。
日本が「侵略」を「進出」に書き換えた、とかデマを流した新聞が「退職」を「転進」に書き換える冗談もアレだが、これに45歳以上の社員70名ほどが応募してきた。予想外だったのは「編集部」からの希望者が過半を超えていたことだ。それも管理職などの幹部社員、中には「大阪支局のNO2」も含まれていたとか。毎日毎日、日本を腐すために嘘を連ねるのが嫌になっていたのだと察するが、これに慌てたのが人事部だった。
販売部門が残っても編集記者がいない。これは元々、大したことも書かない新聞からまた、中身が薄くなることを意味する。それならもう、日付と嘘しか残らない。
それで残った社員が必死で穴埋め作業をして今の紙面なわけだが、編集社員がごっそり入れ替わった所為なのか、過去の論調との整合性が取れなくなってきた。
例えば「ねじれ国会」。この新聞は麻生政権のとき、ねじれ国会をして「政治空白」がどうしたとやってきた。だから早く解散総選挙をしろと、そうしない麻生政権は無責任極まるとか、紙面で叱ってきた。それがいま、参院選直前ながら与党が過半数確実と言われると、社説で<参院の意義 ねじれは問題か>とぬけぬけと書く。
「政権のたらい回し」もそうだった。あれほどメディアに擁護された民主党の総理大臣も毎年変わったが、それについては見事にスル―だった。都議選に続いて参院も与党勝利となれば、安倍政権があと3年は持つ。朝日はもう少し褒めても良いところだが、書くことがなくなったのか、社説も反原発に普天間問題、東北復興とあとは「中韓と向き合え」になる。例年とは違い、次の8月15日が怖くて仕方がない様子だ。
そんな朝日新聞の「期待の星」だった民主党は見る影もない。「ネット選挙」が喧しいが、民主党は動画付きのホームページで「ピコピコで民主党議員がゆく」。民主党の若手議員がヘルメットをかぶり、商店街などを歩きまわって「いい加減にしろ」とか、有権者からピコピコハンマーで頭を殴ってもらう、という企画らしい。民主党の広報は<客寄せパンダみたいなものだが、フェイスブックやツイッターで広げてもらうことで閲覧者を増やし、候補者が演説する動画を見てもらえれば>とのコメントだが、悲し過ぎる阿呆さ加減である。
アルバイト先でミスした高校生でも、もう少し真面目に反省する。要するに子供でも「遊び」と「仕事」は峻別する。国家における政権運営の失敗を、そんなふた昔前の芸人の罰ゲームで誤魔化す神経が信じられない。
民主党も「早期離党者」がたくさん出て行って、いまや旧社会党の残りカスの残りカスばかり。朝日新聞が売る前に「売れるモノを作れない」のと同じく、この政党も政策がつくれないどころではなく、現時点の政局すらわからなくなった。
ところで、もっと信じられないのがいた。管直人だ。選挙中に現役総理を「名誉棄損」で提訴した。いま、終盤になったら<比例では自民党に投票しない>として、明確に「落選運動」を叫ぶ。所詮が全共闘の運動家、“4番目の男”としてふさわしいが、コレが元総理だったという事実こそ信じられないことではある。